スマートフォンが普及し、急成長中のミャンマーの若者たちは一体どんな価値観を持っているのでしょうか?迎える前に少しでも知っておけば、コミュニケーションが取りやすくなるかもしれません。

現地の平均月収は約1万円といわれています。とはいえ、スキルによって金額も変わってくるもの。スキル別の平均月収を見ると……

一般的なミャンマー人…約5,000〜8,000円
多少の国際スキル、外国語スキルがある場合…約30,000〜50,000円
外国語(英語や日本語など)を高いレベルで習得している場合…約50,000円〜
IT系技術やMBAを取得している場合…約50,000〜100,000円

情報元:ユニモン株式会社

スキルの有無によって給与に大きな差が出ることから、外国語を勉強する若者が増えています。スキルによる給料の差は、ミャンマーに近隣各国からの外資系企業が進出していることも理由の一つ。日本からミャンマーへ進出している企業も年々増加しています。

日本に住むミャンマー出身の方でも「最近のミャンマーはほぼ1年ごとに進化していて、帰国するたびに驚かされる」というほど、近年のミャンマーは急成長しています。ミャンマーには、日本企業の資生堂などの化粧品メーカー、日立などの電化製品企業はもちろん、最近では乳酸菌飲料のヤクルトや小売り大手のイオンが進出しました。街には日本郊外によくあるようなショッピングモールができ、そのおかげで以前よりもインターナショナルブランドが買いやすくなっています。スマートフォンの普及やショッピングモール等の施設の増加により、ミャンマー人の間で日本企業の認知は広がってきています。また、日本の文化に強く惹かれたり、日本企業に興味を持ったりしたことをきっかけに、現地よりも実際に日本に来て働くことを志す若者も増えています。今後、日本からミャンマーに戻ることになったとしても、若いうちに日本で経験スキルを積んでおけば、現地でも安定した給料とスキルを生かして会社に就職できるからです。

ミャンマーでは、2014年からの外資参入により、スマートフォンが急速に普及。露店や屋台でもSIMカードが売られはじめました。今まで携帯電話を持っていなかった人も急にスマートフォンを持つようになり、普及率は65%まで上昇。スマートフォンとともにfacebookが一気に普及しました。街では、あらゆるところで若者がスマートフォンを片手に動画視聴やメッセージのやり取りを楽しんでいます。若者の間ではfacebookを通じて行うネットショッピング、「facebook通販」が流行しています。また、自社のfacebookページをウェブサイト代わりに活用し、認知度や集客増加を目指す飲食店や企業も増えています。

ミャンマー人に人気のfacebookを活用した英語学習コミュニティには2万人を超える参加が集まっています。ボランティア大国のミャンマーらしく、それぞれが英語の学習でわからないことを質問形式で投稿し、それにみんなで答え、互いに助け合いながら英語を学ぶといった方法です。日本で例えると、「Yahoo!知恵袋」のようなやりとりがイメージに近いかもしれませんね。

ミャンマーでは、日本でも数年前に流行した「韓流」が若い女性の間でブームに。韓国ドラマをはじめ、韓国の音楽や化粧品なども人気があるようです。韓国企業の参入や韓流ブームをきっかけに、韓国語を勉強する人も増えてきています。

数年前までは、歌手といえばソロのシンガーが一般的でしたが、最近ではミャンマーにも日本のアイドルのような音楽グループが増えてきています。
軍事政権下の2010年に結成された、ミャンマー初のアイドルグループ、ミャンマーガールズ(2012年まではタイガーガールズ)にいたアームーンさんは、ミャンマーの若者に絶大な人気を誇る女性シンガーです。世界を周って音楽の視野を広げた彼女の、今までミャンマーにはなかった洋楽に影響を受けた音楽やダンス、露出度の高いファッションは、最初は否定的に捉えられました。彼女の音楽やファッションは幅広く、ポップで激しいダンスミュージックもあれば、ミャンマーについての想いを歌ったバラードも。露出度の高いセクシーな衣装もあれば、彼女の民族であるカチン族(ミャンマー北部の少数民族)の衣装を着ることもあります。彼女は否定されてもありのままの自分を受け入れてもらおうと音楽活動を続け、若者を中心に徐々に共感を得られるようになりました。他国の文化を取り入れつつも、愛国心を大切し、自分らしく自由な表現をしている。そんなアームーンさんの姿に、若者たちは憧れや共感を抱くのかもしれませんね。
音楽の影響もあってか、ファッションでは日本でもよく知られている「H&M」や「Forever21」、日本の「ユニクロ」などの外資系ファストファッションブランドも人気需要の一つ。facebook通販でファッションアイテムを買うのはもちろん、店を持たずに広告費もかけないで商売ができることから、facebookで外資系ブランドの小物などを売る若者もいます。
一方、ミャンマーの若者の中でも、日本の漫画やアニメが好きな人たちは、休みの日やイベント会場でコスプレファッションを楽しんでいます。

このような他国文化の影響もあり、伝統的な民族衣装のロンジーファッションは以前よりも減少してきていますが、ロンジーのデザインコレクションを公開するfacebookページも女性に人気があります。海外の影響を受けつつ、愛国心が強いミャンマー人にとっては、伝統的な民族衣装であるロンジーも大事なファッションのひとつなのでしょう。
若者といっても、趣味によってそれぞれ好きなジャンルが違えばファッションも異なります。そう考えると、日本の若者と似ているところがあるのかもしれません。

日本は世界で最も技術が発達している国、日本は経済面でミャンマーに貢献してくれている、いった認識があるようですが、一方では、日本人はミャンマーを見下しているように見える、何を考えているのかよくわからない、といったあまり良くない印象も……。あまりよくない印象の部分は、日本人の若者(新人社員)たちもどこか心当たりがあるのではないでしょうか?

ミャンマーは民主化や外資系企業の進出により多様化が進み、だんだん日本の雰囲気に近づきつつあります。シャイで自己主張が少なく、温厚な性格といわれるミャンマー人は、もともと日本人と似ているという話もありますが、昨今のミャンマーの若者と日本の若者には、あまり大きな差はないのかもしれません。facebook、ファストファッション、日本の漫画・アニメ文化など、日本人とミャンマー人の若者は共通の話題が多そうです。

ミャンマーの若者も日本に来て企業で働くとなれば、日本の新人社員と同じように、はじめは不安でいっぱいです。彼らを採用した企業の方も、コミュニケーションに悩まれるかもしれません。例えば、ミャンマー人と日本人の若者同士でチームを組ませ、業務を遂行させてみるのはいかがでしょうか。また、ランチタイムなどに雑談をしていく中で共通点を見いだしていくのも良いでしょう。